ピアノをカッコよく弾けるようになりたい!
そう思ったときにぶつかるのが、両手で演奏する難しさです。初めて挑戦する人は、音もリズムも指使いも違う動きで頭がパニックになってしまう方も多いはず。

でも、安心して下さい。
ちょっとしたコツを覚えたら誰でも両手で演奏できるようになります。

本記事では、両手で弾くことが難しい理由と、練習のコツについて現役ピアノ講師が詳しく解説していきます。独学でももちろん習得可能なのでぜひ参考にしてくださいね。

案内人

  • 古川友理名古屋芸術大学卒業。
    4歳よりピアノを始め、伊藤京子、深谷直仁、奥村真の各氏に師事。
    地元愛知県三河地方を中心に器楽、声楽、合唱伴奏者として活動する傍ら、島村楽器音楽教室等でピアノ講師として勤める。

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なぜピアノの両手弾きは難しいのか?

両手弾きが難しいと感じる理由は、左右の手で同時に異なる動きをしなければならないからです。代表的なものは以下の3つ。

  • 指使い
  • リズム
  • 音量

利き手とそうでない手を平等に使えるようになるだけでも一苦労です。

また、左右の手を動かすということは、右脳と左脳を同時に使うということ。ピアノが脳トレに良いとされるのは、このように脳の広い範囲を活発にさせることができるのが理由のひとつなんです。

ピアノの両手弾きには慣れが重要

両手で弾けるようになるためにもっとも重要なのは、複雑な訓練や難しい練習ではなく「慣れ」です。そのため、独学でも充分習得可能。練習を重ねるなかで、別々の指使い、異なるリズムの左右のパートを同時に弾けるよう段階を踏めば、少しずつコツを掴んでいくことができます。

そのため、初挑戦でいきなり複雑に左右が絡み合う曲を弾こうとするのはNG。焦らず、まずは簡単な練習から始めて徐々に脳と手を慣らしながら進めることが大切です。

【初級】ピアノを両手で弾けるようになるための練習方法・やり方

ここからは、ピアノ初級者向けの両手弾き練習法と具体的なやり方について順を追って解説していきます。

初めはうまくいかなくて当たり前。
経験を重ね、少しずつ指と脳を慣らしながらゆっくり習得していきましょう。

step①歌いながらの片手練習

まずは、片手練習で音をしっかり把握することから始めましょう。

両手で弾く際、どちらの手が何の音を弾いているかを把握していることが大切です。
そうすることで、「右手がこの音を弾いたときが、左手の入るタイミング」といったように、左右が揃うところを意識できるようになります。

音の把握には、歌いながらの練習が効果的です。ドレミをブツブツ唱えながらで構いませんので、片手ずつ丁寧に練習してくださいね。

step②右手のメロディー+左手の1拍目

片手ずつの把握がある程度できたら、いよいよ両手弾きに進みます。

初級の曲は主役のメロディーが右手パートにあるものがほとんど。まずは、右手を弾きながら、小節の1拍目の左手のみを合わせる練習をします。
両手を使って弾いている感覚を味わうために、左手は1小節分伸ばしたままにしておくといいでしょう。

この時、1拍目の左右の音がしっかりそろっていることが理想的です。ピアノの練習では、このことを「縦を揃える」と言います。

step③左手をそれぞれの拍に1音ずつ入れる

左手の1拍目を入れることに慣れてきたら、次はそれぞれの拍に左手を1音ずつ入れて弾きます。

あくまで両手弾きに慣れるための練習ですので、音は楽譜に書いてあるものを気にせず、1拍目と同じ音の繰り返しで構いません。4拍子なら1小節に4回、3拍子なら3回、右手のどの音と合うのか把握しながら進めていきます。

メトロノームのカウントと合わせながら練習するのも効果的です。

step④もう一度左手のみの練習をしてから細切れで左右を合わせる

左手のシンプルな動きと右手を合わせられるようになったら、いよいよ両手弾きに挑戦です!

まずは、左手のみで音とリズムをしっかり確認してから、両手練習に移行します。このとき、曲全体を通して両手弾きの練習をしようとするのはNG。つまずいてまた曲頭に戻ってを繰り返していては肝心の難所が一向に練習できないままになり、挫折の原因となることもあります。

2小節、4小節のきりの良いところで細切れにし、「今日はこの部分を弾けるようにしよう」と、少しずつクリアしていくのが両手弾き攻略への近道です。

ピアノの両手弾きで意識したいポイントやコツ

両手弾きの習得は、ピアノ演奏においてとても大きな進歩です。

両手での美しい演奏を目指すために意識したいポイントやコツをうまく掴み、憧れの曲に挑戦できるよう、レベルアップを図りましょう!

指使いを決めて練習する

ピアノを弾く際、スムーズに弾ける指使いを選ぶことはとても重要です。

ピアノを始めたばかりの頃によくありがちなのが、片手練習の時と両手合わせた時の指使いが変わってしまうというパターン。片手では正しく弾けていたのに、両手で弾くと左手の指使いがぐちゃぐちゃになってしまうということがよくあります。

指使いは、片手の練習時も両手弾きの時も同じでなければ片手で丁寧に練習する意味がありません。

混乱してしまう場合は「左手→両手→左手→両手」と左手の練習量が増えるよう工夫し、決めた指使いで両手弾きができるようにしましょう。

メトロノームを活用する

両手弾きの練習をする時は、メトロノームを活用するのがおすすめ。

一定のテンポを保ちながら弾くことで、何拍目で左右のどの音を同じタイミングで弾くのかを把握しやすくなります。
また、メトロノームが拍を刻んでくれるので、正しいリズム感や拍感を身につけることにも有効です。

初めはメトロノームの音に合わせて弾くのは難しく感じるかもしれませんが、両手弾きと同じく慣れていくことで、次第に感覚を掴んでいくことができます。
まずは自分の弾きやすいテンポから始め、徐々にその曲の理想の速さに近づけて行きましょう。

左右の音量バランスを考えながら弾く

両手で弾くことに少しずつ慣れてきたら、左右の音量のバランスにも気を配りたいところ。ピアノ曲には、メロディー・伴奏といったメインで響かせたいパートとそれを支えるパートが存在します。

左右全く同じ音量で弾くと、どうしても左手で弾く低く太い音の響きが強くなり、右手で弾く高い音域が埋もれてしまうこともあります。

いちばん聴かせたいところは、「この曲ってどんな曲?」と聞かれたときに「こんな曲だよ!」と歌って伝えるそのパートです。ここを響かせるために左右の音量を調整しなければなりません。

音量バランスを取れるようになれば、ただ両手で弾いているという状態から一気にレベルアップできるでしょう。

独学ならflowkey(フローキー)もおすすめ

昨今ではピアノの練習に「アプリ」を導入する人が増えています。

なかでもflowkeyは大人気。ピアノとスマホさえあればいつでもレッスンが可能です。1,000曲以上の楽曲があり、レッスンコースでピアノの基礎から学ぶこともできます。コースは、大きく分けて8つ。中には『両手で弾く練習(全7レッスン)』も含まれているので、両手弾き習得を目指している方にぴったりです。先にご紹介した基礎練習と併せてレッスンすると効率よく習得できるでしょう。

flowkeyについての詳細は下の記事にて解説していますので、ぜひ読んでみてください。

まとめ

初めは難しいと感じる両手弾きも、段階を踏んで丁寧に練習していけば必ず弾けるようになります。
そして、両手弾きにはなんといっても「慣れ」が重要!
本記事で紹介した練習方法やポイントを参考に、少しずつ両手弾きをマスターしていきましょう。