開場前、現地で発行されるプロミングのチケットのための行列。ギャラリーとアリーナは別々に並ぶ。

 

⇒前回の記事(イギリス 夏の風物詩 プロムス(Proms)~世界最大級のクラシック音楽の祭典~ 

1)テレビ、ラジオで生プロムス

プロムスの期間中、BBC Radio3 (クラシック音楽中心のラジオ局) が すべてのコンサートを放送、特に毎日メイン会場で行われるコンサートの様子はライヴで楽しむことが出来ます。またその中でもいくつかのコンサートはテレビでも生中継されるので、自宅のリビングに居ながらにして臨場感を味わえます。

2) いつでも、どこでもプロムス
プロムスはライヴ演奏だけでなくいろんな楽しみ方ができます。

【ウェブサイト】コンサートや関連イヴェントのスケジュール、チケットの購入方法やプロムスの見どころ、楽しみ方など盛りだくさんの内容です。またパフォーマンスのオーディオ・ビデオもあります。

【iPlayer, Podcast】iPlayerはいわゆるBBCのオンデマンドで、放送・放映されたほとんど全ての番組を、登録したりログインすることなしに誰でも簡単に見ることが出来ます。おかげでプロムスのライヴ放送をうっかり逃しても大丈夫。またポッドキャストでも数多くのパフォーマンスがダウンロード出来ます。

3) やっぱりコンサート会場で生プロムス
できればやはりシーズンに一度は、自分が興味のあるプログラムを見つけてコンサート会場に直接足を運びたいものです。そして何よりもロイヤル・アルバート・ホール自体に一見の価値があります。

4) 地元の音楽好きを気取ってPromming
現在でも根強く残るプロムスの伝統として「プロミング (Promming)」というものがあります。これもまたプロムスの語源となったプロムナード(promenade=散歩する) から由来していて、ギャラリー(いわゆる天井桟敷)やセントラル・アリーナでの立ち見を意味します。そのような人たちは「プロマーズ (Prommers)」と呼ばれ、当日販売される1500枚ほどの6ポンドチケットを求め、開場前に先立って長蛇の列を作ります。そしてそのような行列が長年プロムスのひとつの名物となっていました。(今年からチケットの一部が当日の朝にオンライン購入出来るようになったせいか、先日コンサートに出向いたときには会場前には往年の人出は見られませんでした。)

また、プロミングのシーズン・チケットというものもあり、連日足繁く通う本当の音楽好きたちもいます。 プロミングは多くの一流演奏を生で聞きたいという音大生たちにとっても強い味方です。

広いスペースとホール全体を見下ろせるギャラリー。豪奢なコラムの元で思い思いに楽しむプロマーたち。

「プロミング」、それは6ポンドで手に入る至福のとき。世界一流演奏の数々をたった6ポンドで、しかもアリーナでは指揮者やオーケストラをすぐ目の前に、ホール全体を見下ろせるギャラリーではワイン片手に楽しめたりするなんて、こんな贅沢なことはないでしょう!

開場後間もなくさっそくセンターアリーナに陣取り、これからの長時間立ちっぱなしに備えるプロマーたち。

 

海外でプロムスを楽しむ方法

日本でもプロムスを楽しむ方法もあります。残念ながらオンデマンドのiPlayerはイギリス国内でしか観られませんが、プロムスのウェブサイトやソーシャルメディア(Facebook, Twetter, Instagram) にアップされているビデオは観る事が出来ますし、BBC Radio3 はインターネットを使えば日本でもオンタイムで聴けます。

Promsウェブサイト: https://www.bbc.co.uk/proms

BBC Radio 3: http://www.bbc.co.uk/radio3

 

 

 

ご参考までに、以下のような内容がProms 2017 のハイライトとして挙げられています。

*ダニエル・バレンボエム率いるベルリン国立歌劇場付属オーケストラによるエルガーの交響曲1番、2番
*ウィリアム・クリスティ指揮、ヘンデルのオラトリオ「エジプトのイスラエル人」
*モンテヴェルディ生誕450周年、ジョン・ウィリアムズ85周年、フィリップ・グラース80周年、ヘンデルのウォーター・ミュージック初演から300周年などの記念プログラム
*ロシア革命100周年、宗教革命500周年を迎え、当時の情勢が作曲家たちの作品にどう影響を与えたかというテーマのプログラム
*今年初の試みのリラックス・プロムは自閉症やコミュニケーション障害、学習障害者のためにデザインされたコンサート

プリンスコンソートロードからロイヤル・アルバート・ホールに向う人たち。

 


と言うわけで、プロムスは、普段わざわざコンサート会場に行ってまでクラシック音楽を聞かない人たちでもちょっと行ってみようかなぁと思わされるような、子供も大人もプロもアマチュアも老若男女誰もが楽しめる世界最大級のクラシック音楽の夏祭りということでした! それにしても芸術の推奨・育成、文化遺産の保護や記録に熱心なだけでなく、それらを広く一般大衆に分かち合おうとする伝統と懐の深さが今でも脈々と受け継がれているという点で、イギリスはやっぱりすごいなぁと感心しています。(ロンドンの主要なミュージアム、ギャラリーが入場無料なのは周知のことですね。) そして観光客を含めて私たち外国人もその恩恵を受けられる事に改めて感謝する日々です。

 

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