誰しも耳にしたことがあるであろうクラシックの名曲、パッヘルベル作曲によるカノン。
耳馴染みの良い美しいメロディが印象的で、聴いていて心がとても安らぐ曲ですよね。この記事では癒しの名曲、『パッヘルベルのカノン』についてご紹介します。
目次
様々な演奏形態によるカノン
心地よく美しいメロディで人気の名曲『パッヘルベルのカノン』は、様々な演奏形態で編曲されています。ここでは様々なアレンジによる『パッヘルベルのカノン』をご紹介します。編成によって、異なる魅力を楽しむことができますね♪
オーケストラ
思わず聴き入ってしまうオーケストラ版。弦楽器の美しさは言わずもがな、オーボエとファゴットのダブルリードの叙情的な調べが心に沁みます。オーケストラ編成だと各声部に厚みが出て、織りなすメロディが際立ちますね。
カルテットアンサンブル
こちらの弦楽カルテット版は、優雅でとても落ち着いた雰囲気ですね。1人1パートのカルテット形式だと、各声部の演奏、動きがわかりやすく、音の交差をはっきりと楽しめるのも聴きどころの1つ。
ピアノ
心安らぐこちらのピアノ版は、比較的演奏に挑戦しやすいアレンジです。お子様や、大人になってからピアノをはじめた方でも弾きやすいことでしょう。誰もが知っている名曲なので、発表会で弾いてもウケが良いでしょう。
ヴァイオリン
こちらは、ヴァイオリンソロとピアノ伴奏の組み合わせ。とても上品でリリカルですね。ランチコンサートなど昼下がりにぴったりな、正統派の室内楽といった印象です。ヴァイオリンの発表会の曲目に選んでも素敵でしょう。
チェロ
チェロの中低音で奏でられるカノンの調べは、他のアレンジには無い趣きがありますね。
チェロの骨太さ、渋さとカノンの清らかさ、軽やかさが見事に融合したアレンジで、絶妙な緩急を感じさせます。
ロックギター
こちらは、珍しいロックギター版のアレンジです。カノンの新たな魅力が炸裂していますね!エレキギターによるロックアレンジでもメロディの美しさはそのままに、カッコ良さが加わり現代的なアレンジとなっています。
カノンの無料楽譜
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そもそもカノンて何?
一般的に幅広く知られている『パッヘルベルのカノン』ですが、一体カノンとは何を指すのか、疑問に持つ方も多いことでしょう。この項目では、まずカノンの仕組みについて解説します。
カノンとは、同じメロディを複数の声部で異なるタイミングから追随する楽曲形式のことを指します。
メロディの出だしを各声部で少しずつずらしながら、同じメロディが繰り返されていく。ですから、旋律が記憶に残りやすいのがカノンの特徴です。
また、パッヘルベルのカノンに使用されているコード進行はカノンコードと呼ばれ、現代に至るまで後世の作曲家たちにも多大な影響を与えています。
原曲はニ長調ですが、わかりやすくハ長調に転調すると、C→G→Am→Em→F→C→F→Gとなっています。マイナーコードを少し交えることで晴朗な旋律の中に感傷的エッセンスがひとさじ加わり、楽曲のドラマ性が深まっていると言えるでしょう。
そして、このコード進行を見てピンときた方もいるかと思います。そう、カノンコードは有名なポップスナンバーでも頻繁に使われているのです。
例えば、スピッツの『チェリー』や中島みゆきの『糸』、森山直太朗の『さくら(独唱)』など、誰しもが知っている名ヒットナンバーが挙げられます。
どの楽曲も聴き心地が良くて耳に残りやすく、つい口ずさみたくなるようなメロディですよね。ネガティヴに解釈すると、単調で捻りが少ないと捉えられなくもありませんが、カノンコードは聴く人を選ばない、大衆に受け入れられやすいヒット曲の王道コードと言っても過言ではないでしょう。
聴き心地の良いコード進行から織り成されるメロディの反復が、至高の癒しをもたらしてくれる『パッヘルベルのカノン』。時代を超えて幅広く愛されている理由が良くわかります。
『パッヘルベルのカノン』の正式名称と隠されたもう1曲の存在
『パッヘルベルのカノン』という通称ですが、これは正式な楽曲名称ではありません。
正式には『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調』という名称で、第1曲のカノン、第2曲のジーグで1組となっている構成です。
第1曲のカノンがとても人気があり有名なので『パッヘルベルのカノン』と世間では広く認識されていますが、実は第2曲のジーグも存在するんです。
とても華やかで明るい躍動的な楽曲なので、カノンは聴いたことがあってもジーグは聴いたことがないという方は、是非とも聴いてみてくださいね。
パッヘルベルってどんな人?カノンが評価されたのはいつ頃?
カノンと言えばパッヘルベル、パッヘルベルと言えばカノンと言っていいほど結びつきが強い組み合わせですが、パッヘルベル個人については、あまり知られていないのも事実。
パッヘルベルは、1600年代後期のバロック時代に活躍したドイツの宮廷音楽家で、作曲家でありオルガン奏者でもありました。作曲ではオルガン曲やクラヴィア曲が中心で、教会音楽を多く手がけていました。
パッヘルベルの代表曲である『パッヘルベルのカノン』は、実は生前に評価され大ヒットしたワケではありません。1900年代に入って再注目されるまで、長らく眠っていた隠れた楽曲でした。
1900年代前期に学者の論文でスコアが発表され、その後編曲され録音もされるようになり、1968年にフランスの名指揮者、ジャン=フランソワ・パイヤールの室内管弦楽団による録音が発表されてから、再評価を受け今日のヒットにつながりました。
パイヤール氏によるテンポの改訂、オブリガードの脚色などの大幅なアレンジが功を奏し、一躍クラシックの名曲に仲間入りを果たします。『パッヘルベルのカノン』には、時を経て日の目を見たストーリーが実はあったんです。
まとめ
今回は、幅広く愛されているクラシックの名曲『パッヘルベルのカノン』についてご紹介しました。聴き疲れしない心安らぐメロディの反復で、スーッと心を浄化してくれる名曲です。
演奏形態によってガラリと印象が変わるので、自分だけのお気に入りのアレンジを探してみても楽しい事でしょう。