ピクニック気分で気軽にクラシックが楽しめる音楽祭といえば「ラ・フォル・ジュルネ」が知られているが、クラシックをはじめ、ジャンルを越えた音楽が気軽に楽しめるイベントが京都で開催されるというのをご存知だろうか。

さまざまなジャンルの音楽が融合するイベント「OKAZAKI LOOPS」は、2016年リニュアルオープンしたロームシアター京都を中心に、平安神宮、劇場、美術館、公園、動物園、琵琶湖疏水等を有する京都の文化ゾーンの一つ「岡崎エリア」で6/23(土)・6/24(日)の2日間にわたり開催される。岡崎という土地を回遊(ループ)しながら、多様なジャンルのループを楽しめる、京都発の音楽祭だ。

ループするのはそれだけではない。本イベントでは、J-POPシーンを牽引する家入レオ、Aimer、阿部真央と京都市交響楽団(管弦楽)によるコラボレーションをはじめ、無音の図書館で紡ぎ出される青葉市子による演奏会、アニメーション映画「おおかみこどもの雨と雪」の音楽を手がけた高木正勝のピアノソロ・コンサートなど、趣向を凝らした演目が巡る。

 

中村天平

加えて注目したいプログラムがこちら。10周年記念ツアーを「OKAZAKI LOOPS」で開催する中村天平によるコンサートだ。

中村天平といえば、クラシック、ジャズ、プログレッシヴロックなどに影響を受け、ジャンルを超越した激しくも美しい独創的な楽曲を生み出すピアノ界の革命児として多くのファンを魅了するコンポーザーピアニスト。作曲家でもあり優れたピアニストでもある。

一方で、大学に入りクラシックピアノを本格的に始めるまでは、音楽とは正反対の解体業に従事した、異色の経歴の持ち主でもある。

 

姉の影響により5歳からピアノを始めた中村だが、中学に入るとピアノとは一線を画していた。中学生の時に家族と暮していた神戸の実家が阪神淡路大震災に見舞われ、大阪へ引っ越す。その後、目まぐるしい環境の変化の中、高校を中退し、さまざまなアルバイトをする。その時に経験したのが解体業などの肉体労働だった。

 

そんな時にこれまでとは全く違うことにチャレンジしようと、改めてピアノと向き合うようになった。その後、音楽専門学校に入学、さらに大阪芸術大学演奏学科ピアノコースへと進み同コースを首席で卒業した。

そこ頃から彼の心の中に自分しかできないコトをやろうという熱い決意が宿ったのだろう。

 

その後国際的な音楽家を目指しニューヨークへ留学、2010年には見事ニューヨークのカーネギーホールでデビューを果たす。以降アメリカと日本を拠点に世界で活躍する。

世界遺産・熊野古道での「紀伊半島秘境コンサートツアー」も記憶に新しい。

 

熊野古道世界遺産登録10周年記念テーマ曲【Spiritual Road / 神宿る道】by Tempei Nakamura 中村天平

 

そんな彼の独特のスタイルは演奏時でもTシャツにジーンズなどのラフな格好を好むことだ。型にはまらないスタイルというのは服装にも現れている。

彼が奏でる曲は、力強く、時に驚くほど繊細に私たちに響きかける。情熱と優しさを兼ね備えた世界に誇るピアニストの一人だ。彼の魅了に引き込まれていくファンも多いはずだ。

 

STAND UP! CLASSIC

また、世界的にも大変希有なソプラニスタ岡本 知高を迎えたSTAND UP! CLASSICによるコンサートも必聴だ。

クラシック音楽の歴史に最大限の敬意を払いながら、例えばコンサートにおいても、POPミュージックのライブを楽しむかのように立ち上がって鑑賞できるような環境を作り、演奏者も観客の皆さんも一体となって盛り上がれるような、新しいクラシックの楽しみ方を提案する。

このプロジェクトは、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントが、クラシック音楽の更なる発展のため、新しいクラシック音楽の体験を創造するために立ち上げた。

今回は、関西メンバーを中心に開催される初公演となる。スペシャルゲストとして、男性でありながら女性ソプラノの音域を持つ男性ソプラノ歌手 岡本 知高を迎え、クラシックからポップスまで生演奏の心湧き踊る感動が体験できる。

クラシック愛好者はもちろんのこと、クラシックって一般的に敷居が高いのでは?という人にも楽しんでいただける演目となっている。

さらに、メキシコのスーパー・パーカッション・アンサンブル「タンブッコ」によるコンサートも2日間にわたり開催される。

タンブッコは、4人のメキシコ人打楽器奏者により結成されている。メキシコを本拠地に活動しているが、今回は本イベントに合わせて来日する。当日は演奏のほか、地域の小学生を対象とした事前のワークショップも予定されている。

音は言葉を凌駕したコミュニケーションだ。子供とのコラボレーションによりどんな新たらしい化学反応が生まれるのか楽しみだ。しかも、3プログラムとも手軽な価格で気負わずに楽しめるのが嬉しい。

 

OKAZAKI LOOPSは単なる音楽祭としてではなく、あらゆるジャンルの垣根を越えて純粋に音楽を楽しみ、感動を共有することで、これまで踏み止まっていた音楽ジャンルへの興味を持つ一歩に繋がるイベントになるのではないか?

開催中は、ロームシアター京都に隣接する岡崎公園に特設ステージを設け、地元アーティストなどによる演奏が無料で楽しめる。公園のフリースペースでのんびり流れる音楽に触れながら京都の日暮れを眺めるのも一興。夏直前の京都の楽しみかたがまた一つ増えた。

 

<概要>
■天平ピアノコンサート
10周年記念ツアー「三つの翼」in 京都・岡崎
6/24(日) OPEN18:00 / START 18:30
京都国立近代美術館 1 階ロビー特設会場

■STAND UP! CLASSIC
6/24(日)OPEN15:30 / START 16:00
ロームシアター京都 サウスホール

■タンブッコ・パーカッション・アンサンブル コンサート
6/23(土)・6/24(日) START 13:00
ロームシアター京都 ノースホール
一般発売:5/12(土)より

<詳細情報>
京都岡崎音楽祭2018 OKAZAKI LOOPS
URL:http://www.mbs.jp/okazaki-loops/