中学生になると演奏レベルが上がり、手も大きくなることから、弾ける曲が格段に増えますよね。自分の好みもはっきりしてくるので、好きな曲でないと練習に身が入らなくなってしまいます。
そうなると悩みがちなのが、発表会の曲選びです。せっかくの晴れ舞台、思い出に残る特別な一曲を選びたいものです。
そこで本記事では、中学生の女子・男子どちらにも人気の曲の中から、発表会で聴き映えする曲を厳選して紹介します!ポップスとクラシックの両方をレベル別にピックアップしたので、ぜひ参考にしてみてください。
案内人
- 海老野みほ4歳からエレクトーンを始め、高校生の時にピアノに転向。
音楽系専門学校に進学し、クラシック・ジャズ・POPs・作曲・アレンジなど、様々なジャンルの知識を身につけながら演奏活動を行う。
2011年から都内の音楽スクールのピアノ講師として勤務。
目次
中学生のピアノ発表会曲選びのポイント
自分にぴったりの一曲を選ぶために、以下のポイントを意識してみてください。
好きなジャンル、好きな曲調から選ぶ
まずは弾きたいジャンルや曲調を絞りましょう。クラシック、ポップス、ジャズ、ジブリ、ディズニーなど、ざっくりとした感じでOKです。
ジャンルが絞れたら、その中から好きな曲調を探し、3〜5曲ほど候補を出します。いきなり1曲に決めてしまうと「難しい楽譜しかなかった」「やっぱり何か違う……」となってしまうかもしれません。
複数の候補曲を出し、楽譜を見てから最終決定するのがポイントです。
自分のレベルにあった曲と楽譜を選ぶ
自分のレベルに合わせて選ぶことも大切です。難しすぎると本番までに完成させるのが厳しく、簡単すぎてもレベルアップにつながりません。
特にポップスの楽譜は、同じ難易度表記だったとしても、簡単だったり複雑な弾き方が出てきたりとさまざまです。よって、実際に弾いて判断しましょう。ネットならサンプルで一部分を見られるショップが多いですよ。
試奏してみたり、先生と相談したりしてお気に入りの一曲を見つけてください。
【初級】ポップスのおすすめ曲
ここからは、ポップスの人気曲を紹介します。まずは簡単だけれど聴き映えのする初級編です。
難易度の設定は、
・初級=ブルグミュラー程度
・中級=ツェルニー30番程度
・上級=ツェルニー40番以上
という想定で選曲しています。
ルージュの伝言/荒井由美
映画『魔女の宅急便』のオープニング曲。明るく楽しい曲調が発表会にぴったりです。
演奏のポイントは、左手のテンポを一定に保つよう意識すること。メトロノームを使い、ちょうど良いテンポを体に染み付かせましょう。
紅蓮花/LiSA
子供から大人まで大人気の『鬼滅の刃』の主題歌。かっこいい曲なので、発表会で印象的な演奏ができること間違いなしです
メロディーの音域が広いため、指が足りない、届かないといったことがないよう、指使いをしっかりと決めて練習しましょう。指の付け根を伸ばすために、ストレッチをしてから練習に入るのがおすすめです。
【中級】ポップスのおすすめ曲
次は中級編のポップスおすすめ曲を紹介します。
恋/星野源
テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌。「恋ダンス」が大流行したことも記憶に新しいですね。明るい曲調と軽快なテンポで、弾く方も聴く方も楽しめる一曲です。
早いテンポで曲が進むので、焦ってミスタッチをしないよう気をつけましょう。ゆっくりのテンポから練習を始めるのがおすすめです。スタッカートやアクセントの見逃しにも注意してください。
彼こそが海賊/パイレーツオブカリビアン Hans Zimmer, Klaus Badelt and Geoffrey Zanelli
映画『パイレーツオブカリビアン』のメインテーマ。大スケールで迫力のある演奏をしたい方におすすめです。
曲全体に重厚感を出すには、左手が重要となってきます。力で音量を大きくするのではなく、むしろ力を抜いて腕の重さを使って鍵盤を押しましょう。太い響きのある音をイメージしながら演奏するのがポイントです。
【上級】ポップスのおすすめ曲
次はポップスの上級曲を紹介します。
Brightness/ドラマ「コウノトリ」
ドラマ「コウノトリ」で綾野剛が演じる天才ピアニストが演奏してる楽曲。ワクワクするような曲調で発表会を盛り上げることができるおすすめの曲です。
全体を通して細かく音が移り変わっていくので、単調な演奏にならないよう、セクションごとに場面の切り替えを意識するのがポイントです。
メロディーの雰囲気が変わるところは、ペダルをうまく使いメリハリをつけてあげましょう。
夜に駆ける
人気アーティストYOASOBIの、とりわけピアノがフューチャーされたかっこいい一曲。中高生で知らない人はいないほど人気があるので、発表会に限らずレパートリーに加えておくのもいいですね。
この曲には、16分音符の細かいリズムがたくさん出てきます。休符を確実に取ることがかっこよく弾くポイントですので、焦らずゆっくりのテンポから練習してみましょう。
【初級】クラシックのおすすめ曲
続いて、クラシックのおすすめ曲をレベル別に紹介します。まずは初級編から。
お人形の夢と目覚め Op.202-4/エステン Dolly’s Dreaming and Awakening Op.202-4./Theodor Oesten
発表会といえばこの曲とも言われる定番中の定番。3パートで構成され、それぞれ曲調が異なるため、いろいろな雰囲気を味わえるのが特徴です。
右手を和音で弾くところが多いので、押さえ方にムラを出さないのを意識しましょう。左手はスラーやスタッカートなど、音の長さにメリハリをつけるのがポイントです。
カノン/パッヘルベル Canon in D/Johann Pachelbel
ピアノで弾きたいクラシック曲NO1の人気曲です。
ゆったりと曲が進むので初めての発表会でもおちついて演奏できるおすすめの一曲です。
右手に出てくる音階(スケール)は指使いをよく確認して、指くぐりをうまく使いましょう。
後半に行くにつれて音の数が多くなってきますが、確実に弾けるテンポで演奏するのがうまく弾くポイントですよ。
シンコペーテッド・クロック/ルロイアンダーソン The Syncopated Clock/Leroy Anderson
時計をイメージした可愛らしい一曲。曲名は知らないけれど聞いたことはある、という方も多いのではないでしょうか。簡単な楽譜でも華やかに聴こえるため、発表会にぴったりです。
演奏のポイントは、スタッカートとスラーの弾き分けです。スタッカートは短く軽やかに、スラーは流れるように丁寧に繋げて演奏しましょう。音源といっしょにメロディーを口ずさんでみると、弾き方のニュアンスが掴みやすいですよ。
【中級】クラシックのおすすめ曲
中級編では、抑揚や表現重視で練習できる、次の3曲を選びました。
月の光/ドビュッシー Clair de lune/Claude Achille Debussy
優しさと緊張感が混ざり合ったメロディーが印象に残る楽曲。それでいて抑揚をつけやすいため、発表会で観客を惹きつける演奏がしたい方におすすめです。
落ち着いた夜の雰囲気をイメージしながら、焦らず一音ずつ丁寧に演奏するのがポイントです。音の数が多くなるところでは、テンポの乱れに注意しましょう。
子犬のワルツ/ショパン Minute Waltz/Chopin
発表会では誰かが必ず演奏する、というぐらい人気のある曲です。子犬がはしゃいで走り回っているような、可愛らしい雰囲気が特徴。
曲自体は小学生でも演奏可能な簡単さですが、早いテンポで軽快に演奏したり、ワルツ独特のテンポの揺れを表現したりといったアレンジを加えることで、中級者でも十分に弾きごたえを感じられますよ。
トルコ行進曲/モーツァルト Turkischer Marsch/Wolfgang Amadeus Mozart
多くの人に知られるクラシックの有名曲です。一度は弾いてみたいと思っている人も多いのでは。
メロディーが細かく動くところは、さまざまな指使いのテクニックが必要になります。いきなり速く弾くと表現が曖昧になりやすいため、ゆっくりのテンポで確実に指で鍵盤を捉えていきましょう。
細かい連符の合間に出てくるオクターブの連続は、広がりのある華やかな音をイメージしながら演奏すると、曲に盛り上がりを作ることができます。
【上級】クラシックのおすすめ曲
クラシック上級では、随所にテクニックが必要な弾きごたえのある曲を厳選しました。
メイプルリーフラグ/スコットジョプリン Maple Leaf Rag/Scott Joplin
クラシックにジャズの要素が盛り込まれた、ラグタイムと呼ばれるジャンルの一曲。遊園地の入り口に立った時のようなワクワク感のある、楽しい曲を弾きたい方におすすめです。
左手には、ベース音と和音を交互に弾いていく、スライド奏法と呼ばれる伴奏形が出てきます。音域が広く、手の移動が大きいので、手首の脱力がポイントになってきます。力が入りすぎて重たい演奏にならないよう注意しましょう。
ソナタ悲愴 Op.13 Pathetique Piano Sonata No.8 Op.13
綺麗で暖かなメロディーが印象に残る曲です。テレビドラマや映画などでも使われることが多く、たくさんの人に親しまれています。
楽譜通りにさらっと弾くだけであれば、それほど難しくはありません。しかし、メロディーと伴奏の弾き分け、そして強弱の表現にこだわりだすと、本曲の奥深さが分かるはず。メロディは芯のある太い音で、伴奏はふわっとした柔らかい音のイメージで演奏してみましょう。
愛の夢3番/リスト LiebestraumeNO.3/Liszt
幻想的で優しい雰囲気が愛されている一曲。ゆったりした始まり方をするので弾きやすそうな印象を受けますが、所々で高度な演奏テクニックを要します。長年ピアノを続けてきた方、集大成として大曲を弾きたい方におすすめです。
曲全体を通してアルペジオが出てくるので、リズムのブレや音量のバラつきには特に気を配りましょう。また、和音の移り変わりとともに曲のストーリーが進んでいくので、場面が変わる部分では抑揚をしっかりと付けましょう。
まとめ
今回は中学生向けに、発表会にぴったりな曲を紹介しました。
練習の成果を披露する晴れの舞台ですから、先生と相談しながら後悔しない曲選びをしてください。何よりも大事なのは楽しむこと。「この曲、何か違うな」と思ったら、遠慮せず先生に伝えましょう。
本記事が参考になれば幸いです。