トロンボーンの魅力はなんといってもアンサンブルです。
特に四重奏の形はレパートリーも多く、ひとつのジャンルとして成立しているほど。しかし、吹奏楽やオーケストラの演奏はよく見るけどアンサンブルはどれを見たらいいかわからない…という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、トロンボーンを愛する人に絶対に聴いてほしいトロンボーン四重奏と、バストロンボーン2本とピアノのトリオ(3重奏)を紹介します!これを見ればあなたもその魅力にハマってしまうでしょう。
案内人
- 武崎創一郎広島交響楽団バストロンボーン奏者。
演奏家をつとめる傍ら、メディアへの寄稿やSNS運用も手がけている。
自身のTwitterとブログではオーケストラ奏者×子育てのセキララを発信中。
目次
>LE QUATUOR DE TROMBONES DE PARIS(パリ・トロンボーン四重奏団)
ミシェル・ベッケ、ジャック・フルケ、ジル・ミリエール、アラン・マンフランの4人で結成された、最古のトロンボーン四重奏団のひとつ。「パリトロ」の愛称で親しまれています。
1971〜1996年という長い期間にわたって活動し、その間に5枚のCDを発売。コンサートツアーも度々行い、トロンボーン四重奏のレパートリーを世界中に広めました。
解散してから20年以上過ぎた今でも、多くのトロンボーン奏者にとってのバイブルとして愛されています。筆者もパリトロのCDを聴き込んで、収録曲のほとんどを練習しました。トロンボーンアンサンブルを聴くなら、まずおすすめしたいのがこちらのグループです。
>Four of a Kind(フォー・オブ・ア・カインド)
ニューヨークフィルハーモニック主席のジョセフ・アレッシ、エンパイアブラスのスコット・ハートマン、サンフランシスコ交響楽団主席のマーク・ロイレンス、フィラデルフィア管弦楽団のバストロンボーンのブレア・ボリンガーで結成されたトロンボーンクァルテット。
色彩豊かな一流ソリストの集団でありながら、完璧なアンサンブルとハーモニーで人気を呼びました。
アルバムは2枚しかリリースされていませんが、最高峰のトロンボーンアンサンブルとして世界中のトロンボーン奏者に愛されています。
東京トロンボーン四重奏団
栗田雅勝、神谷敏、小田桐寛之、秋山鴻市の4名で結成された日本を代表するトロンボーン四重奏団です。
N響&都響というトップオーケストラ奏者のグループならではの上質なアンサンブルで、日本のトロンボーンアンサンブルの草分け的な存在です。現在は活動していませんが、柔らかく煌びやかなそのサウンドは、今でも日本のトロンボーン吹きのバイブルとして人気を誇っています。
トロンボーン四重奏のレパートリーの開拓にも精力的で、小田桐氏が編曲した名曲の数々が出版され、愛好家からプロまで幅広く演奏されています。
Twilight Trombone Quartet(トワイライト・トロンボーンカルテット)
芸大フィルハーモニアの東川暁洋、東京佼成ウインドオーケストラの今村岳志、佐藤敬一朗、フリーランスのトロンボーン奏者でアレンジと作曲をこなす廣田純一の4名で結成されたトロンボーン四重奏団。メンバー全員が東京芸術大学の卒業生で、在学中から鍛えたアンサンブル力は職人技です。また、コメディを織りまぜた音楽劇などを取り入れたコンサートで聴衆を魅了しています。
メンバーの廣田氏が作曲したレパートリーは愛好家の間でもよく演奏されています。現代のトロンボーン界を盛り上げ、リードする存在と言っていいでしょう。コンサートの頻度も高く、生の演奏を聴くチャンスが多いグループです。
Trio Sync.(トリオ・シンク)
NHK交響楽団バストロンボーン奏者の黒金寛之、読売日本交響楽団バストロンボーン奏者の篠崎卓美、ピアニストの城綾乃によって結成されたアンサンブル。現在の日本で最高のバストロンボーン奏者2人の音色は圧巻です。
頻繁にコンサートを行っていて、バストロンボーン2人の出身地である福島県いわき市ではトロンボーンキャンプも開催しています。
トロンボーン2本とピアノのデュオは世界的にも珍しく、トロンボーン奏者の中川英二郎や、作曲家の高島圭子のオリジナル曲にくわえ、バッハやメンデルスゾーンといったクラシック定番の作曲家の作品も開拓しています。
まとめ
まだまだ紹介したいアンサンブルはあるのですが、今回のところはこのくらいにしておきましょう。
一度は聴いてほしいソロ奏者についてもご紹介しているので併せてチェックしてみてくださいね。
アンサンブルはトロンボーンの醍醐味ですから、今回紹介したグループの演奏を聴いて、実際に演奏もしてみて下さいね。トロンボーンの新たな魅力に気づくはずです。