「日本管打楽器コンクール」をご存知でしょうか。

少し馴染みが薄いかもしれませんが、30年以上の歴史を持つ由緒ある大会で、これまでに皆さんご存知の音楽家が多数受賞しています。

そんな日本管打楽器コンクールについて、本記事では概要や日程、過去の入賞者などを紹介します。

日本管打楽器コンクールとは?

日本管打楽器コンクールとは、日本音楽教育文化振興会が主催する音楽コンクールのこと。

管楽器および打楽器の各分野から有能なソリストを発掘したり、優秀な人材を育成したりすることを目的に、1984年から開催されています。若手の登竜門に位置づけられる、非常にレベルの高いコンクールです。

日本管打楽器コンクール

日本管打楽器コンクールの歴代入賞者

本大会は、これまでに多くのプロ演奏家や指導者を輩出してきました。
その中から今回は6名の入賞者をご紹介します。

上野耕平 / サックス

TVやラジオの音楽番組でお馴染みの上野耕平は、爽やかなたたずまいと軽妙なトークも魅力のサクソフォーン奏者です。2011年に第28回日本管打楽器コンクールサクソフォーン部門第1位・特別大賞を最年少で受賞しました。
さらには、サクソフォーンの生みの親であるアドルフ・サックスの名を冠した第6回アドルフ・サックス国際コンクールでも第2位を受賞。一気に「サクソフォーンといえば上野耕平」というほどの存在感を示すようになりました。
吹奏楽団「ぱんだウインドオーケストラ」のコンサートマスターとしても知られています。

福川伸陽 / ホルン


2003年第20回日本管打楽器コンクール・ホルン部門で第2位受賞。2008年には日本音楽コンクール・ホルン部門第1位を受賞し、人気ホルン奏者としての地位を確立しました。

福川氏はソリストとして国内外の数多くのオーケストラと共演し、日本フィルハーモニー交響楽団やNHK交響楽団で首席ホルン奏者を務めました。
現在はホルンのレパートリーの拡大をライフワークとして作曲家への委嘱を積極的に行ったり、室内楽奏者としても活躍しています。

長 哲也 / ファゴット

イケメンファゴット奏者として人気の高い長哲也。2013年の第30回日本管打楽器コンクール・ファゴット部門で第2位に輝き、現在は東京都交響楽団の首席ファゴット奏者として活躍中です。

2017年には完全無伴奏作品のみのソロ・アルバムを発表。あまり知られていない印象のあるファゴットの魅力を伝えるべく活動の幅を広げています。

大場章裕 / パーカッション

大場章裕は、2011年第28回日本管打楽器コンクール パーカッション部門第1位、並びに審査員特別賞受賞でオーディエンスを湧かせました。
さらに、第10回イタリア国際打楽器コンクール・マリンバ部門第1位受賞や、第11回チェジュ国際金管打楽器コンクール最高位など、国際的なパーカッション奏者の地位を確立しています。

竹山 愛 / フルート


2009年第26回日本管打楽器コンクール・フルート部門第1位に輝いた竹山愛。第79回日本音楽コンクールでも第1位のほか、岩谷賞(聴衆賞)、吉田賞、加藤賞を受賞する快挙を成し遂げました。ソリストとして数多くのオーケストラと共演する他、現在はTVやラジオの音楽番組にも多数出演している人気フルート奏者です。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団では現在首席フルート奏者を務めています。

須川展也 / サックス

ベテランサクソフォーン奏者の須川展也は、第1回日本管打楽器コンクールでサクソフォーン部門第1位に輝きました。
「東京佼成ウインドオーケストラ」のコンサートマスターを22年間務めた名プレイヤーであり、吹奏楽に携わっている人なら誰もが知っているほどの有名人です。
現在はソリストとして活動し、サクソフォンの可能性を追求して作曲家への委嘱も積極的に行なっており、サクソフォン音楽の発展に力を尽くしています。

2022年8月に第37回日本管打楽器コンクールが開催!

2021年に開催されるはずだった第37回大会は、新型コロナウイルス感染症拡大のため延期となりました。2022年6月現在は、無事に開催される見通しです。騒動が拡大しないことを祈るばかりですね。

開催部門は4つ

日本管打楽器コンクールでは、開催部門が毎年変わります。オーボエ、サキソフォン、トランペット、打楽器、フルート、ホルン、トロンボーン、クラリネット、ファゴット、ユーフォニアム、テューバなどの部門があり、それぞれ3年に一度開催される仕組みです。

第37回大会では、オーボエ部門、サクソフォーン部門、パーカッション部門、マリンバ部門の4つが開催されます。

ただし無観客

開催こそされる見通しの第37回大会ですが、残念ながら第一次予選・第二次予選・本選から特別大賞演奏会および表彰式まで、全日程が無観客で開催されます。

【2022年】第37回日本管打楽器コンクールの会場と日程

ここからは、第37回日本管打楽器コンクールの会場と日程を紹介します。

オーボエ部門

選考ステージ 日時 会場
第一次予選 2022年8月8~9日 尚美ミュージックカレッジ専門学校  バリオホール
第二次予選 2022年8月11日
本選 2022年8月12日

サクソフォーン部門

選考ステージ 日時 会場
第一次予選 2022年8月22~24日 尚美ミュージックカレッジ専門学校  バリオホール
第二次予選 2022年8月25~26日
本選 2022年8月27日

パーカッション部門

選考ステージ 日時 会場
第一次予選 2022年8月15~16日 武蔵野音楽大学 江古田キャンパス ブラームスホール
第二次予選 2022年8月18日
本選 2022年8月20日

マリンバ部門

選考ステージ 日時 会場
第一次予選 2022年8月22~23日 東京音楽大学 池袋キャンパス 100周年記念ホール
第二次予選 2022年8月25日
本選 2022年8月27日

特別大賞演奏会・表彰式

日時 会場
2022年8月31日 かつしかシンフォニーヒルズ 大ホール

【2022年】第37回日本管打楽器コンクールの課題曲

次は、第37回大会の課題曲を紹介します。

オーボエ部門

選考ステージ 課題曲
第一次予選 J.S.Bach:Partita BWV1013 より Allemande
第二次予選 下記の課題曲と選択曲の中から1曲を選び、課題曲選択曲の順序で演奏すること

<課題曲>

H.Dutilleux:Sonate より 1,2

<選択曲>

①J.S.Bach:Sonate g-moll BWV1030b(ピアノ伴奏)

②R.Schumann:Drei Romanzen 

③A.Doráti:Duo Concertante 

④A.Ponchielli:Capriccio 

⑤B.Britten:Six Metamorphoses after Ovid 

⑥G.Silvestrini:Six Études pour Hautbois より 1,2,4,6 

⑦北爪道夫:歌う葦(Reeds Singing a Song)

⑧保科洋:祈り そして 戯れ~光のもとの~ 

⑨平尾貴四男:Sonate

本選 W.A.Mozart:Konzert C-dur KV314 全楽章

サクソフォーン部門

選考ステージ 課題曲
第一次予選 下記の課題曲を①②の順序で演奏すること

①E.Bozza:12 Études-Caprices より No.6

②G.Lacour:28 Études より No.24

第二次予選 課題曲審査の結果後、通過者のみ選択曲審査へ進めるものとする

<課題曲審査>

C.Pascal:Sonatine 

<選択曲審査>

下記の選択曲の中から1曲を選び演奏すること

①R.Corniot:Eglogue et Danse Pastorale 

②R.Boutry:Sérénade

③D.Maslanka:Sonata より 第3楽章 

④C.Lauba:Kabuki 

⑤西村朗:水の影 

⑥挾間美帆:サクソフォン・ソナタ第1番  ー秘色の王国ー

本選 A.Glazounov:Concerto

パーカッション部門

選考ステージ 課題曲
第一次予選 下記の課題曲を①②③の順序で演奏すること

①J.Delécluse:Test-Claire pour Caisse claire seule 

②S.Fink:Trommel-Suite より toccata

③M.Goldenberg:Modern School for Xylophone Marimba Vibraphone より 61 ページ Ⅲ ニ長調 Allegro

第二次予選 下記の課題曲と選択曲の中から1曲を選び、課題曲→選択曲の順序で演奏すること

<課題曲>

M.Cals:Quatre Inventions 全楽章 

<選択曲>

①E.Carter:Eight Pieces for Four Timpani 

②P.Nørgård:I Ching より Ⅱ,Ⅳ 

③石井眞木:Thirteen Drums Op.66 

④K.Stockhausen:Nr.9 Zyklus 

⑤W.Thärichen:Konzert für Pauken und Orchester より 2,3

⑥福士則夫:ソロ・パーカッションのための「グラウンド」

⑦N.J.Živkovi㶛:Generally Spoken it is Nothing but Rhythm

⑧北爪道夫:Side by Side 

⑨I.Xenakis:Psappha

⑩E.Kopetzki:Canned Heat

⑪I.Xenakis:Rebonds

⑫M.Feldman:The King of Denmark

⑬K.Volans:She Who Sleeps With A Small Blanket

本選 A.Jolivet:Concerto

マリンバ部門

選考ステージ 課題曲
第一次予選 下記の課題曲と選択曲①②③の中から1曲を選び、課題曲→選択曲の順序で演奏すること

<課題曲>

J.S.Bach:無伴奏チェロ組曲 BWV1009(第3番)より Allemande

<選択曲>

①C.O.Musser:Etude op.6 no.10

②C.O.Musser:Etude op.6 no.9

③C.O.Musser:Etude op.11 no.4

第二次予選 下記の課題曲と選択曲の中から1曲を選び、課題曲選択曲の順序で演奏すること

<課題曲>

田中利光:マリンバのための二章 

<選択曲>

①石井眞木:飛天生動Ⅲ 

②一柳慧:森の肖像 

③末吉保雄:マリンバのためのミラージュ 

④三宅一徳:Chain 

⑤三善晃:トルスⅢ 

⑥J.Schwantner:Velocities 

⑦A.Thomas:Merlin 

⑧N.J.Živkovi㶛:Ilijaš 

⑨J.Druckman:Reflections on the Nature of Water 

⑩P.Klatzow:Dances of Earth and Fire 

⑪A.Viñao:Khan Variations 

⑫E.Kopetzki:Three Movements for a Solo Dancer

本選 伊福部昭:ラウダ・コンチェルタータ

【2022年】第37回日本管打楽器コンクールの結果

本大会の結果については詳報が分かり次第、随時情報を更新いたします。

まとめ

今回は日本管打楽器コンクールの日程や課題曲を紹介しました。ピアノやヴァイオリンのコンクールは数多くありますが、サクソフォーンやオーボエ、マリンバのコンクールは珍しいですよね。
来年以降は有観客で開催されるようになり、それぞれの楽器の素晴らしさを会場で堪能できることを願っています。