4大グランドピアノと言われる『スタインウェイ』『ベーゼンドルファー』『ベヒシュタイン』『ヤマハ』の特徴や響きの違いについてピアノのプロが詳しく解説!それぞれの新品価格と中古価格についてもご紹介するので、購入を検討している方もぜひ参考にしてみてください。
案内人
- 木内小夜子国立音楽大学卒業。4歳よりクラシックピアノを始め、玉澤敬子、青柳いづみこ、黒川浩、故・松下隆二、木村真紀の各氏に師事する。地元静岡にて同大学静岡県東部同調会主催のコンサートや沼津市芸術祭など、都内及び国内各地での演奏会や、西安、クアラルンプールの海外での演奏会にも出演。
目次
スタインウェイ&サンズ(Steinway & Sons)
スタインウェイ&サンズの歴史
スタインウェイ&サンズは、1853年にドイツ人移民のピアノ製作者ヘンリー・エンゲルハート・スタインウェイにより、ニューヨークのマンハッタンに設立されました。
現在ではピアノ製作における126もの特許を取得し、多くの賞も受賞しています。最高級グランドピアノ市場における同社の占有率は80%を超えます。
スタインウェイ&サンズ 音色とタッチの特徴
スタインウェイの一番大きな特徴は、濁りのない明るく華やかな音色でしょう。高音域はとても繊細で豊か。中・低音域は潤沢で幅広いダイナミックレンジを持ちます。
筆者も実際に弾いた経験が幾度もあり、その輝きと透明感を持った音が大きなホールの端まで響いた時の感動は圧倒的です。『キラキラした音』という表現がとてもよく似合います。響きが良ければ良いほどタッチは軽やかに感じ、ピアニストの指から放たれる非常に微妙なニュアンスも忠実に表現してくれます。まさに最高峰の比類なき楽器です。
スタインウェイ&サンズ 価格は?
ピアノの王様と称されるスタインウェイは価格も超一流です。グランシップモデルから家庭用サイズまで、それぞれの価格を一覧でご紹介します。
グランドピアノ | 新品価格 |
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D-274 | 2,200万円~ |
C-227 | 1,600万円前後 |
B-211 | 1,400万円~ |
※中古価格:約800~900万円 | |
A-188 | 1,200万円~ |
O-180、M-170、S-155 | 900万円~ |
アップライトピアノ | 新品価格 |
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K、V | 500万円~ |
※中古価格:約300~400万円 |
スタインウェイ&サンズを愛用しているアーティスト
- ウラディーミル・アシュケナージ
- ダニエル・バレンボイム
- ウラディミール・ホロヴィッツ
- エフゲニー・キーシン
- ビリー・ジョエル
ベーゼンドルファー(Bösendorfer)
ベーゼンドルファーの歴史
ベーゼンドルファーは、1828年ウィーンにて、イグナーツ・ベーゼンドルファーによって創業され、ウィーンの音色(ウィンナートーン)の代名詞となったピアノメーカーです。
フランツ・リストの激しい演奏に耐え抜いたことでも知られ、その人気を長らくスタインウェイと二分してきました。生産台数はとても少なく、現在までの総生産台数は約50,000台しかありません。2008年からはヤマハの子会社になっています。
ベーゼンドルファー 音色とタッチの特徴
高貴で深みのある音が特徴。弦の共鳴が豊かで、倍音がよく響きます。全音域に渡るの音のまとまりが良く、楽器全体が一つになってその響きを作り出しているように感じます。
筆者が実際に弾いた印象としては、スタインウェイに対し、ベーゼンドルファーは安定感や重厚感のある落ち着いた音色を感じることが多いです。煌びやかなピアニッシモも、迫力のあるフォルテッシモも、色彩や感情のゆらめきを豊かに表現してくれます。
ベーゼンドルファーの価格は?
ベーゼンドルファーのピアノ価格をモデル別にご紹介します。
フラッグシップモデルの『290インペリアル』は、ブゾーニの要望により最低音を長6度低いCまで9鍵拡張しており、鍵盤数は97個。また、『225』は最低音を長3度低いFまで4鍵拡張したモデルで、鍵盤数は92個あります。この音域の拡張は、他のメーカーにはない珍しい個性です。
グランドピアノ | 新品価格 |
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290インペリアル | 2,800万円~ |
280VC | 2,500万円~ |
230VC | 2,200万円~ |
225 | 1,900万円~ |
※中古価格:約700~800万円 | |
214VC | 1,700万円~ |
200、185VC、170VC | 1,300万円~ |
※中古価格:約600~700万円 |
アップライトピアノ | 新品価格 |
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130 | 700万円~ |
120 | 500万円~ |
ベーゼンドルファーを愛用しているアーティスト
- サー・アンドラーシュ・シフ
- 久元祐子
- ヴィルヘルム・バックハウス
- オスカー・ピーターソン
- キース・ジャレット
ベヒシュタイン(C. Bechstein)
ベヒシュタインの歴史
ベヒシュタインは、1853年カール・ベヒシュタインによってベルリンで誕生しました。創業当時から多くの音楽家に愛されており、クロード・ドビュッシーが「ピアノ音楽はベヒシュタインのためだけに書かれるべきだ」との言葉を残しているほどです。
現在は、ドイツのピアノ製造マイスターであるカール・シュルツェが経営権を買い取り、ツィンマーマンとホフマンをブランドの傘下に収め、ベヒシュタイングループとなっています。
ベヒシュタイン 音色とタッチの特徴
繊細で色彩豊かな音色が特徴。柔らかく純粋でぬくもりのある音を感じられます。多声部のバランスを操りやすく、ピアノの個性の主張よりも奏者の個性が前面に出ます。
また、タッチに瞬時に反応し音の立ち上がりが速く、奏者の意図が伝わりやすいのも特徴のひとつです。音の減衰も速いため、音が混じり合いながら消えてゆく時の美しい色彩感を表現できます。
ベヒシュタインの価格は?
ベヒシュタインは、素材や製造工程、仕様の違う3つのシリーズが展開されています。『ベヒシュタインコンサート』『ベヒシュタインアカデミー』『ベヒシュタインレジデンス』それぞれの機種と価格を一覧でご紹介します。
※空欄箇所は現在情報がないか、取扱店と要相談となっています。
ベヒシュタインコンサート | 新品価格 |
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D-282 | |
C-234 | |
B-212 | 1,370万円から |
A-192、L-167 | 1,000万円から |
※中古価格:500万円前後から | |
Concert8(アップライト) | 600万円から |
ベヒシュタインアカデミー | 新品価格 |
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A.228 | 880万円から |
A.208 | 750万円から |
A.190、A.175、A160 | 550万円から |
※中古価格:400万円前後から | |
A.114 Modern Chrome Art | 270万円から |
(アップライト) | |
A.114 Modern | 250万円から |
A.114 Conpact | |
(ともにアップライト) |
ベヒシュタインレジデンス (すべてアップライト) |
新品価格 |
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Elegance 124 | 370万円から |
Classic 124 | 360万円から |
Contur 118 | 310万円から |
Classic 118 | 270万円から |
Millenium 116K | ※中古価格:200万円前後から |
ベヒシュタインを愛用しているアーティスト
- ヴィルヘルム・ケンプ
- ヴィルヘルム・バックハウス
- フジコ・ヘミング
- チック・コリア
ヤマハ(YAMAHA)
ヤマハの歴史
1897年に日本楽器製造株式会社として発足したヤマハ株式会社は『YAMAHA』のブランド名で知られるトップピアノメーカーです。1969年にはピアノ生産台数で世界一となり、今では100種類以上の楽器を生産する世界最大の総合楽器メーカーとなりました。
ヤマハ 音色とタッチの特徴
最も弾く機会の多いヤマハのピアノは、非常にバランスのとれたピアノであると言えるでしょう。タッチは比較的軽く、かといって軽すぎないものが多く、明るく澄んだ伸びのある素直な音色がします。華やかさと落ち着きのバランスの良い高音域と、程良い重厚感を表現できる中・低音域を持ち、色彩や情緒豊かな表現が可能です。
楽器の品質が非常に安定しており、温度や湿度の変化が著しい日本の環境下であっても、管理や手入れがしやすいところも大きな特徴です。
ヤマハの価格は?
ヤマハのピアノは機種が多く、価格帯も幅広いですよね。そこで今回は、フラッグシップモデルとコンサートホール用、家庭向けのものなど、代表的なシリーズをご紹介します。
The CF Series | 新品価格 |
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CFX | 2,090万円から |
CF6 | 1,364万円から |
CF4 | 1,199万円から |
SX Series | 新品価格 |
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S6X | 594万円から |
S3X | 506万円から |
CX シリーズ | 新品価格 |
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C3X espressivo | 363万円から |
C7X | 385万円から |
C6X | 324万円から |
C5X | 291万円から |
C3X | 253万円から |
※中古価格:約170万円~ | |
C2X、C1X | 192万円から |
※中古価格:約130万円~ |
アップライトピアノ | 新品価格 |
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SU7 | 264万円から |
YUS5 | 145万円から |
YUS3 | 113万円から |
※中古価格:約70万円~ | |
YUS1 | 99万円から |
YU33、YU11 | 72万円から |
ヤマハを愛用しているアーティスト
- スヴァトスラフ・リヒテル
- ジョルジュ・シフラ
- グレン・グールド
- 仲道郁代
- 上原ひろみ
試奏や試弾はどこのお店がおすすめ?
各メーカーの楽器が多く展示されている店舗をご紹介します。下記以外にも全国には大小の楽器店がたくさんあり、筆者は約23年前、ヤマハの工場まで赴き試弾させて頂いたこともあります。ご購入を検討される際は、是非たくさんの楽器に触れてみてください。試弾希望の場合は、各店舗へ事前の予約や問い合わせをしましょう。
東京
- グランドギャラリー東京
東京でお探しであれば、グランドギャラリー東京がおすすめです。
来店でのピアノ選びはもちろん、オンラインでのピアノ相談(Facetime、Zoom、LINEビデオ通話等)も可能。専任スペシャリストがサポートしてくれるため安心です。
ヤマハ、カワイ、アポロ等の国産ピアノから、スタインウェイ&サンズ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタインなどの輸入ピアノまで、幅広いラインナップ(5,000台以上)が揃っているため、各メーカーの弾き比べが可能です。
- 輸入ピアノ.com
東京でお探しの方へ、輸入ピアノ.comもおすすめです。
スタインウェイ&サンズ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタイン、ペトロフなどの輸入ピアノが揃い、店頭にていつでも試弾が可能です。
ほかにピアノレンタルスタジオが併設され、その時々により変更されるレンタル室のピアノは、国内外問わず様々なメーカーの音色を思う存分楽しむことが出来ます。
また、ピアノコンサートの開催(不定期)などもあるので、ピアニストの弾くピアノも楽しめます。
関西
関西でお探しの方は、下記店舗がおすすめです。
実際に音に触れることが大事
ピアノ音楽は、チェンバロの時代から、楽器の進化と共に演奏可能となる作品の規模や幅が広がりました。楽器が進化したからこそ作曲家は新たな試みを作品に込め、ピアニストはより良い演奏や表現を求めて自らの能力を高め、それぞれの個性を表現できるようになったのだと感じます。ぜひみなさんも、各メーカーの特徴を知り、ご自分の耳と肌で感じ、理想のピアノに巡り合ってくださいね。