アニメでは、クラシックや吹奏楽の楽曲をBGMにすることがよくありますが、最近では作曲家の人生や奏者の人生そのものを題材にした作品も増えてきました。これによりクラシック音楽についてあまり知らない人はもちろん、愛好家の方も楽しめるアニメが数多く誕生しています。
そこで今回は、有名どころから最新作まで、音楽の魅力を再発見できるアニメの数々を紹介します。ぜひチェックしてみてください。
目次
タクトオーパス
ストーリー
物語の舞台は、黒い隕石から生まれた異形の怪物「D2」により音楽が失われた世界「ベルリン・シンフォニカ」。
伝説の歌劇や楽曲の力を宿した少女たち「ムジカ―ト」は、世界の調和をとり戻すためにD2を撃ち破ろうとしている。そこへ、眠りから覚めた少年・朝雛タクト（コンダクター）が、ムジカ―トの一人「運命」と出会い行動を共にする。
はたして彼らは音楽を取り戻すことができるのか？
2021年にスマートフォンアプリゲームとアニメが展開されることになり大きな話題を集めている。
見どころ
ムジカ―トたちが楽曲の力を宿しているという設定がなんともユニーク。
たとえばベートーヴェン「交響曲第5番」の楽譜を宿す「運命」、マーラー「交響曲第1番 巨人」の楽譜を宿す「巨人」、ワーグナー「ワルキューレ」の楽譜を宿す「ワルキューレ」。彼女たちは一体どんな性格なのか、曲のイメージを思い浮かべながら味わえるのが大きな見どころです。
ゲームでは人気指揮者の栗田博文が音楽考証を務め、アニメでは数々のドラマ・映画で活躍うる作編曲家の池頼広が音楽を担当。クラシック音楽ファンにとっても、楽しみなゲームとアニメが誕生しました。
ましろのおと
ストーリー
師匠である祖父を亡くし、自分の弾くべき音を見失っていた津軽三味線奏者の澤村雪。物語冒頭で単身上京するものの、行くあてもなく、追ってきた母により高校入学を手配される。
そこで出会ったのは「津軽三味線愛好会」のメンバーたち。雪はメンバーと共に自分の音を探し始める。
見どころ
津軽三味線をテーマにした作品は大変珍しく、「ちはやふる」が百人一首ブームを巻き起こしたように、一つのムーブメントを生み出しています。
見どころは、雪の母・梅子が開催する津軽三味線甲子園「松吾郎杯」の場面。雪が指導し、少しずつ団結していった津軽三味線愛好会のメンバーたちの演奏はいかに？雪とライバル・田沼総一のどちらが優勝するのか？
アニメは津軽三味線甲子園で終わっていますが、原作コミックは10年以上の連載を経て全28巻で完結しました。こちらも青春群像劇としての面白さが抜群で、雪の成長や恋、メジャーデビューなどがじっくり描かれています。
のだめカンタービレ
ストーリー
エリート音大生・千秋真一は、ある日、ゴミだらけの部屋に住みながらも美しいピアノを奏でる野田恵（のだめ）と出会う。
奇声を発するなど、まさに”不思議ちゃん”の彼女は、千秋に恋心を抱き猛アタック！さらに、2人の通う音楽大学でも次々と個性的な人物が現れ、千秋は否応なしに騒動に巻き込まれていく。音楽愛に満ちた爆笑クラシック・コメディ。
見どころ
まったくタイプの違う2人が互いに刺激を受け合い音楽家として成長していく様子が、濃い人間模様と爆笑エピソードと共に丁寧に描かれているため子供から大人まで楽しめます。
また、巨匠指揮者シュトレーゼマン、千秋をめぐってのだめのライバルになる打楽器奏者・真澄ちゃん、ナルシストなヴァイオリニスト峰龍太郎など、きっとあなたのお気に入りキャラが見つかるはず。
音楽大学ってこんな雰囲気なのか！と実感できるような描写、そしてラフマニノフ、ベートーヴェン、モーツァルトなどクラシックの名曲の数々が「のだめ」の世界を彩り、笑ってアニメを楽しみながらいつの間にかクラシックに詳しくなれるというオマケつきです。
四月は君の嘘
ストーリー
かつてピアノの天才少年だった有馬公生は、母の死をきっかけにピアノの音が聴こえなくなり、コンクールからも遠ざかった生活を送っていた。
そんな公生は、同い年のヴァイオリニスト宮園かをりと出会う。ヴァイオリンコンクールで聴いたかをりの圧倒的な演奏をきっかけに、彼は再び音楽の道を歩み始める。しかし、かをりには大きな秘密があった。
コミックの大ヒットをきっかけに実写映画化・アニメ化された人気作品。
見どころ
見どころは、なんといっても登場人物の演奏シーンです。かをりがコンクールで演奏するベートーヴェンの「ヴァイオリンソナタ第9番 クロイツェル第1楽章」、公生が喫茶店で子供の前で演奏するモーツァルトの「きらきら星 変奏曲」をはじめ、数多くの演奏シーンが登場します。
また、傍若無人で元気いっぱいのかをりに魅せられ、日常がモノクロームに見えていた公生が色彩豊かな生活と自分の音楽を取り戻していく様子、そしてかをりの持つ秘密の悲しさは涙無しには観られません。
響け！ユーフォニアム
ストーリー
ユーフォニアムを演奏する高校生・黄前久美子を主人公に、弱小吹奏楽部のメンバーが全国大会を目指す青春モノ。
原作は武田綾乃の小説シリーズ。テレビアニメ化、劇場アニメ化され、関連イベントも多数開催されて人気を博した。
見どころ
現役吹奏楽部の学生はもちろん、吹奏楽部経験者も「あるある！」と納得できるリアルなエピソードの数々、そして楽器の演奏技術までも細やかに再現したクオリティの高い映像が大きな見どころです。
また、吹奏楽コンクールまでの部員の心理描写にも現実味があります。ソロ奏者に選ばれなかった時の悲しい気持ち、コンクールに出場したいのに部活を親に反対されたり、楽器が思うように吹けず「上手くなりたい！」という焦りを感じたり…。
吹奏楽経験者なら確実に胸が熱くなるこのアニメ。第1期・第2期・劇場版、それぞれじっくり味わってみていただきたい名作です。
ピアノの森
ストーリー
世界的なピアニストを父に持つ雨宮修平は、転校した小学校で、森に捨てられたピアノを弾く少年・一ノ瀬海（カイ）と出会う。カイと修平は仲良くなり、やがて共にショパン・コンクールに出場する。
見どころ
カイと修平、2人の少年のピアニストとしての成長と世界を目指す様子がじっくり描かれているのが大きな見どころです。カイに友情を感じつつも、天才肌のカイに対するライバル意識に苦しむ修平に共感する人も多いかもしれません。
一方で、貧しく複雑な家庭環境に育ち、過酷な人生を歩むカイが世界を目指す様子は感動的です。
アニメでは反田恭平、髙木竜馬ら錚々たるピアニストが演奏を担当しています。ショパンの名曲「小犬のワルツ」「華麗なる大円舞曲」や、バッハ「イギリス組曲第二番」、ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ 月光」など数多くのクラシック楽曲が作品の世界を彩っています。
クラシカロイド
ストーリー
女子高生の音羽歌苗は、祖母から受け継いだ洋館「音羽館」の大家をつとめている。
そこへ、なぜかベートーヴェンとモーツァルトを名乗る二人組が入りびたるように。彼らは「クラシカロイド」と呼ばれ、彼らが演奏する音楽「ムジーク」には不思議な力が宿っていた。
クラシカロイドたちが巻き起こす奇想天外な出来事をコミカルに描いたアニメ作品。
見どころ
クラシックファンなら「ベートーヴェンやモーツァルトが現代に生きていたら、どんな音楽を作っただろう？」と思ったことがあるのではないでしょうか。本作品では、これに対する一つの答えを味わえます。
見どころは、音楽家たちのキャラクター設定です。イケメンでスタイリッシュなベートーヴェンやワーグナー、現代ではなぜか女性に生まれ変わったチャイコフスキーとリスト。ドヴォルザークに至ってはなぜかカバ！笑いながらクラシックにも詳しくなれて、老若男女問わず楽しめる作品となっています。
また、クラシカロイドの演奏するムジークのプロデューサーが超豪華。ベートーヴェンはギタリストの布袋寅泰、バッハやチャイコフスキーはつんく♂、リストは浅倉大介など、現代の人気音楽家が不思議な音楽「ムジーク」を具現化しています。
TARI TARI
ストーリー
白浜坂高校の声楽部に所属する宮本来夏は、教師に「音楽の才能がない」と言われてしまう。
歌うことをあきらめられない来夏は新たに合唱部を作ることを決意し、仲間を誘うが、寄せ集めのメンバーは合同発表会終了後、次々と去っていく。
高校生たちが日常の中で泣いたり笑ったり、少しずつ成長していく様子を描いた人気アニメ。
見どころ
江ノ島を舞台にした映像が美しく、画面から潮風の香りがしてきそうです。
合唱部を作ろうと奮闘する来夏、トラウマを抱え音楽から遠ざかっていた和奏、来夏の親友・紗羽を中心にした高校3年生の日常が、時には楽しく、時には切なく描かれています。
歌うことの楽しさ、夢をあきらめないことの大切さが、彼女たちのアンサンブルに乗って伝わってきて、元気が出ること間違いなしの作品となっています。
また音楽面では、劇場版「クレヨンしんちゃん」シリーズや「ONE PIECE」シリーズを手掛ける作編曲家・浜口史郎によるオリジナルの合唱曲が数多く登場。TARI TARIの世界を唯一無二のものにしています。
坂道のアポロン
ストーリー
舞台は1960年代、音楽の世界ではモダンジャズが華やかな時代。
高校一年生の西見薫は、父の都合で横須賀から一人で九州に転校する。優等生の薫は周囲に心を閉ざしがちだったが、破天荒で豪快なクラスメイト・川渕千太郎との出会いがきっかけでジャズを演奏するようになる。
千太郎の幼馴染・律子への恋、千太郎との友情など切ない青春模様がジャズの名曲と共に描かれる名作アニメ。実写映画も人気です。
見どころ
見どころは千太郎のドラムと、薫のピアノによるジャズセッション。時には2人の憧れの兄貴分・淳一のトランペットを交えてスリリングな演奏が繰り広げられます。
このセッションには、日本ジャズ界のトップ・プレイヤーである石若駿（ドラム）・松永貴志（ピアノ）・類家心平（トランペット）による演奏がそのまま使用されています。映像と音楽が見事にマッチし、ジャズをよく知らない人でも心弾むことうけあいです。
そして「モーニン」「いつか王子様が」「私のお気に入り」など、ジャズの名曲をバックに、登場人物たちの青春ならではのヒリヒリした心模様が丁寧に描かれています。
豪快に見えて実は心に傷を持つ千太郎の危うさ、薫と律子それぞれの恋心のゆくえから目が離せません。
まとめ
どれも登場人物の音楽への熱い思いに胸を打たれる作品ばかりです。アニメをきっかけに音楽へ関心を持ち、楽器を手に取ったり吹奏楽部に入ったりする人も多いとか。純粋に見て楽しむのはもちろん、趣味のきっかけにもしていただけると幸いです。
